戸籍の読み解き方
戸籍から得られる情報
現行戸籍からは次のようなことがわかります。
・生年月日、死亡年月日、婚姻日
・出生地、死亡地
・父母の氏名
・続柄
・従前戸籍
大正4年式戸籍や明治31年式戸籍でもこれらの情報はわかりますが、明治19年式戸籍になると、出生地が記載されていません。また、父の名前はわかりますが、母の名前を記載する欄がありません。
したがって、戸籍編製時に母親が死亡していた場合は、母の名前を知ることができません。
なお、戸籍調査で先祖の身分や職業を知ることはできません。
古文書など戸籍以外の調査を行ったとしても確実にわかるというものではありません。
文字を読み取る
戸籍を取得できたとしても、それを読み解かないことには、先に進めません。
昔の戸籍の手書きの文字の読み取ることが一番苦労するところです。
漢数字の読み方
古い戸籍になると生年月日などの日付や番地には、大字(だいじ)という漢数字の代わりに用いる漢字が使われています。
次の数字は大字で書かれていることが多いです。
「一」 → 「壱」または「壹」
「二」 → 「弐」または「貮」
「三」 → 「参」または「參」
「十」 → 「拾」
なお、「二十」は「弐拾」と書かれますが、日付などでは、「廿」と一文字で書かれていることもあります。
女性の名前の読み方
昔の女性の名前にはひらがなやカタカナが多く用いられていますが、古い戸籍では変体仮名が使われているため、知識がないと、なかなか読み取ることができません。
変体仮名とは、ひらがなが現在の字体に統一される前に使用されていた字体です。
たとえば、
は、「いと」さんです。
は、「はな」さんです。
実際はもっとくずしてあったり、戸籍を書いた人のくせがあったりしますし、似たような文字もありますので、読み取るのは簡単ではありません。
変体仮名を調べる場合は、次のサイトが参考になります。
消滅した町や村を探す
従前の本籍地をたどっていくと、現在は存在しない町や村の名前が出てきます。
現在の市町村ではどこにあたるのかを調べないと、戸籍の請求先がわかりません。
幸い、これらも、インターネット上でほとんど調べることができます。
便利なのはWikipediaです。
〇〇郡の名前で検索すると、郡の沿革が記載されており、これまで存在した町や村の名前と、現在の市町村名を知ることができます。
ただし、まれにWikipediaには名前が記載されていない村もあります。
このような場合は、現在の大字や字でその地名が残っていないか調べてみて、当てはまりそうな市役所に確認してみましょう。
名字を探す
繰り返しになりますが、古い戸籍の文字はとても読み取りづらいです。
手書きの上に、文字が非常に小さかったり、かすれていたり、除籍のために引かれた線が重なっていたりすると簡単には読み取れません。
しかし、従前の本籍地や戸主の名前が読めないと、戸籍をたどるのにも支障が出てしまいます。
例えば、曾祖父の戸籍から曾祖母の先祖をたどりたい場合に、曾祖母の婚姻による入籍前の戸籍の記述で、戸主の名字のところがかすれてはっきりと読めなかったりすることがあります。
もちろん、曾祖母の名前の欄の横には父親の姓名も書かれているので、入籍の記述の箇所と父の名前の箇所との二か所で名字を確認できるのですが、それでも、一般的でない希少な名字だとなかなか判読できないケースがあります。
名字の二文字のうち一文字だけははっきり読めるというような場合は、その一文字を使用した名字の候補の中から探していくことになります。
実際の名字と照らし合わせながら探していくと、読み取りにくかった漢字を推測することができます。
次のサイトでは漢字一文字の含まれる名字を検索することができます。
戸籍の読み取りはとにかく、根気が必要です。
時には、古文書やくずし字の解説本も必要となります。
古い戸籍でも、はっきりと力強く読み易い文字で書かれているものもあり、こういう戸籍に出会うと、書いた人に感謝したくなります。
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