親族の戸籍といえども全てを取得できるわけではありません。
戸籍は個人情報のかたまりです。
取得できるのは申請者の直系に関するものに限られています。
直系というのは、子や孫などの下の世代と、父母、祖父母、曾祖父母、高祖父母など上の世代がありますが、縦につながる血族のことです。
前者を直系卑属、後者を直系尊属といいます。
祖父母から見れば、自分はその直系卑属です。
これに対して、兄弟姉妹や叔父、叔母など、直系からの横のつながりを傍系と言います。
直系尊属の戸籍には、傍系血族の名前も現れますが、直系尊属の名前が載っていない傍系血族の戸籍は請求することができないのです。
したがって、例えば、曾祖父の兄の子孫をたどって調べたいと思っても、戸籍を取得することはできません。
戸籍証明の申請書には、必要な証明の区分として「戸籍」、「除籍」、「改製原戸籍」と書かれています。
「戸籍」と書かれているのは「現在戸籍」のことで、現在、在籍している人がいて使用されている戸籍をいいます。
「除籍」は、在籍している人が婚姻や死亡などによって誰もいなくなった戸籍のことです。
除籍となった戸籍には保存期間があり、現在は150年間保存した後は廃棄してよいこととなっています。
2010年までは、その保存期間が80年間でしたので、既に廃棄されていてたどることができないものもあります。
「改製原戸籍」とは、戸籍の様式が改められて新しい戸籍が編製されたときの従前の様式の戸籍のことです。
新しい様式の戸籍には、従前の戸籍から婚姻や死亡などにより除籍となった人の情報が引き継がれないため、従前様式の戸籍も保存期間が経過するまで保管されることになっています。
先祖をたどるには、これら「戸籍」、「除籍」、「改製原戸籍」を全て調べていきます。
戸籍は、現在までに様式、書式等が何回か改正されています。
最初の近代的な戸籍は、明治5年につくられたもので、壬申戸籍と呼ばれます。この戸籍には差別問題につながる記載もあって、現在は閲覧することができません
現在取得できる最も古い戸籍は、明治19年戸籍となります。
明治19年式戸籍は、保存期間経過によって廃棄されてしまっているものもありますが、文化や文政など今から200年近くも前の時代に生まれた方が記載されていることもあります。
次の明治31年式戸籍にも、江戸時代に生まれた方の名前が見られます。
この後の大正4年式戸籍までは、戸主を中心とした家単位で作られていました。
したがって、親子、兄弟姉妹だけでなく、孫やいとこにいたるまで、たくさんの人が同じ戸籍に入っています。
現行の戸籍は昭和23年式戸籍と呼ばれ、夫婦単位で編成されています。夫婦とその子どもしか同じ戸籍に入りません。
子どもが結婚すると、新しい戸籍が作られます。
戸籍は本籍地の市町村に保管されていますので、本籍地の市町村に申請します。
先祖代々同じ地域に住んでいて、本籍地が変わっていなければ、戸籍証明の申請も一か所ですみますが、本籍地を転々と変えていたりすると、本籍地のある市町村ごとに申請しなければなりません。
まずは、自分の本籍地のある市町村に申請するところからスタートです。
親の本籍地がわかっているなら親の本籍地からでもかまいません。
戸籍証明の申請書は、市町村によって呼び名や様式は異なりますが、どこもホームページからダウンロードすることができるようになっています。
必要な証明にチェックをする欄がありますが、戸籍全部事項証明(謄本)、除籍謄本、改製原戸籍謄本の全てにチェックし、通数は各1通とします。
請求の理由欄には、「先祖調査のため、直系尊属に関する戸籍についてたどれるだけ全て発行してください。」と記入します。
連続する直系尊属の戸籍を取得するのに、申請書は一つでかまいません。
申請には本人確認書類(運転免許証等身分を証明するもの)の提示が求められます。
なお、証明1通につき、現戸籍謄本は450円、除籍謄本及び改製原戸籍謄本は750円の手数料がかかります。1系統調べるのに7000円くらいは見ておいたほうがよいでしょう。
本籍地の市役所に行く時間がなかったり、遠くて行けない場合は、郵送で請求することができます。
市役所の戸籍証明担当課あてに次のものを同封して郵送します。
戸籍謄本の入る角2サイズの返信用封筒を入れるので、送付用も同サイズの封筒を用います。
1 戸籍証明書の申請書
呼び名は様々です。市町村のホームページからダウンロードできます。
記載例や必要な添付品も記載されていますので、参考にしましょう。
2 本人確認書類の写し
運転免許証のコピーでかまいません。その他にも有効なものがありますので、市町村のホームページで確認してください。
3 手数料
郵便局で手数料相当分の定額小為替を購入して同封します。
謄本が何通になるかわからないので多めに入れておきます。おつりが出れば定額小為替で返してくれますし、足りない場合も連絡してくれます。
※定額小為替は。券面金額が50円から50円刻みで500円までと、750円、1000円のものがあります。金額にかかわらず1枚につき交付手数料を100円とられるので、1000円のものを何枚か入れておきます。あまった分は郵便局の窓口で現金と引き換えてくれます。
4 返信用封筒
住民票の住所を書いて、切手を添付します。枚数が多いと思われる場合は、角2封筒が適当です。
先祖の本籍地が一つの市町村にとどまらない場合は、従前の本籍地をたどっていかなければなりません。
戸籍には、本籍地を移転していれば、転籍前の本籍地が記載されています。婚姻や養子縁組で入籍した場合は、入籍前の本籍地と筆頭者(戸主)の名前が記載されています。
最初に自分の本籍地の市町村に請求する場合と違って、注意しなければならないのは、必要な戸籍に記載されている人が自分の直系尊属であることを証明するものを添付しなければならないことです。
例えば、父方の曾祖父の戸籍謄本を申請するとしたら、自分が父の子であることがわかる戸籍、父が祖父の子であることがわかる戸籍及び祖父が曾祖父の子であることがわかる戸籍のそれぞれの写しを申請書に添付しなければなりません。
戸籍が現存するかどうかは別として、先祖を全てたどるとすると、父母2人、祖父母4人、曾祖父母8人、高祖父母16人・・・とたどっていくことになります。
郵送で請求する場合、全部の系統を調べるには、「父方、母方双方の全ての直系尊属の戸籍をたどれるだけたどってください」と申請書に書けばよいのですが、例えば父方の祖父、曾祖父と1系統だけ調べるのなら、「父方の祖父の父系をたどれるだけ全てたどってください」というように、調べたい範囲が担当者にわかるように書いておく必要があります。
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